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7月, 2011の投稿を表示しています

Cycle01 Past going on - 哲学の道

1.1 神様がいないから哲学するのさと頭を指して彼は言う 例えば論考の様に書ければ俺の問題は解決するか 「伝わるはずなのに、何故伝わらないんだ」という疑問から始まる 俺の意味とは: 意味や言葉、論理の隙間の語られない部分だ 解体と再構築をするこの目に事実と意味は繋がるのか 事実というのは意味を総て含む訳では無い 僅かな重なり 名に意味は付随しない 二つはイコールにはならない組み合わせだ 「言葉の限界について理解している。乗り越える事は可能か」 単純化と複雑化の狭間で揺れ動き続けている 「ありありと理解する事が出来る」 きっとこの様な感覚だろう 思想が見えないまま 哲学者の私的感情を感じ取る まるで見てきたかの様な映像 飽くまで理解した「つもり」なのだ 2.1 分かれた二つの道 一つは飛び込む 一つは落下する《ここ》から 俺の、世界との交わりは「追放」 捨て去られた果て無き遠さだ 「気持ちの悪さ」「不可解」この体のほとんどは二つが占めている この存在自体に不思議さと気味の悪さを覚え戸惑うのだ 人はこの不気味さをどう処理しているのか 認識さえ無いのか 俺は世界と対峙する 体に総てを受け突き進む 闘う 3.1 森を散策する昼下がり 踏みしめると展開していく思考 立ち止まる 考える 顎に手を当てて 空を見上げても「わからない」 ここで留まり続ける訳にはいかない だが、方向がわからない 「生き残った人へ。どのようにして通過していったのか、教えて欲しい」 思考する 思想する 人は何を思い 希うのか わからないまま 否定する者に存在はリフレインするのか ここには、何も無い Q.どのようにして死にゆく事、虚無を克服するのか A.意志の力 意志する力は自ら突き進んでいく 望もうとも止まらない 現れては消える意志のゆらぎ 統一という収束はどこに 3.2 存在は理性の中にある事で認識され存在するのか 思考に存在するだけの人間は存在していないのだろうか 事実、意志はソリッドに 存在というものはここにある氷結 手放したその一瞬は永続 いつまでもそのままの姿で 僕が死んだら《この》世界は無くなるけれど《あの》世界は変わらない 凪いだ世界 水面に立つ 無音 崩壊する世界は落下していく 幸せの鐘の音は真空に響かない 誰もが孤独の宇宙 《ここ》にただ在るのは無常 幸福も哀しみもいつかは忘...

Cycle02 para-phrase - コミュニケーション

自分の血肉の様に感じる事 呼吸する様に使う事 思考の断片を口にした時点で溝は深まっていくだけだ 本質を見誤らなければ形は意味を持たない事が解る 難しいという思い込みが単純な本質を見えなくする 「何が見えているか」と「何を見ているか」というのは似てるけど違う 例えば背中合わせで見る視界の端を共有しているだけ 僕の視座からは見えない位置から君が見ている事だけがわかる フレームを理解する 俺は、意味は、事実は、乖離したまま崩壊 外部からの認識、内部からの認識 ギャップは埋まる事無く あなたが切り取った世界はもしかしたら僕が切り落とした世界 捉えどころの無いものをどのようにして抉り取るか、切り取るか、だ 自分の視界から消えた人間が何もしていないと考えない あなたが気付いた頃には僕はもういない きっと見えない場所にいる 自分なんてものは流動的だから、固めすぎない方がいい 検証してもたどり着く結論は同じ 差異に寛大であれ 視点にこだわらない事 構造を複眼的に見つめる事だ 矛盾する物事の両方を飲み込めばわかるかも知れない

Cycle03 All is Real Life - 日常/非日常

忘れた振りをしているだけで、覚えている事はいくつもあるんだ 4.12を忘れない 神と世界、俺が断絶した【あの日】 線路みたいに終着駅があれば まだ進む意味があるけど 君に泣いて欲しい訳ではないけれど、僕は君の未来をぬらす。 だから、君とは「さようなら。」悲しみの未来を僕は渡したくない 救わないもの救えないものならば 無という幸福を選びたい 明日誰かが居なくなる事は寂しいと思う事は出来るのに 所詮、その程度の存在と命だ 明日にはみんな忘れる どこまでも落ち続ける昏い影 未来は見えない 存在しない 「世界の始まりは無です。無は闇です。光はあとから出来た物。」 疲労のへばりついた朝が訪れる 再生されたのは何だ、と 目を凝らせば見えるだろう、このクラックが 剥き出された非日常 明日生きているかわからないなんて思わない 夕焼け見て思う 「まともには生きられないさ。なら、俺はこの感情と闘い抜く——」 食事を終えたテーブルは幸福の残骸 触れられぬ夢を見る 固く閉ざされた口元に死の瞬間がある その顔を拭う ありふれた日常というのは無自覚の意識の中だけにある 四十八時間の沈黙のあとの声がどれだけ尊いか 掴める様な気がする幸福が最も残酷で辛い現実 歴史の大河の中の個は一瞬のパルス 微かな小波だ 低音を爆ぜ鳴らせて通過するヘリに二ヶ月を考え直す ぐだぐだに伸びきった麺に人生を重ねる「救わない」「見つけない」 公会堂 夏の風景が好きだけど、壁が出来て見えなくなる もうすぐ世界が終わる 好きな歌を口遊みながらキィを叩く 「人間ってさ、生きていくと、死んでゆくよね。当たり前の事だけれど」 四季のうつろいを感じる事 君と過ごす事 人生の正解 例えば、月に一度くらい、楽しく美味しい食事をしたくなる。 季節のうつり変わる時、手紙を書き、贈り物を届けてみたり。 いつでも楽しかったらいいけど、たまにつらかったり、苦しかったりする。 「ツイてないな……」と苦笑いして見上げた景色がとても綺麗だった。 「あっ」って言って、目を丸くする。目の前の景色を君に伝えたくなる。 僕が何をしたいかって、こういう事がしたいって事なんだよ。

Cycle04 re-sistance - 芸術

三文短歌を積み上げる この積み上がりが喰えぬ詩人の命 僕の未来はタブラ・ラサ インクで言葉を書き殴ったら燃やそう マントの下は骨組みだけ がらんどう 鳥籠みたいにからっぽだ 赤い油彩絵具を塗りたくったばかりの腕で祈りを捧げる 窓辺に君の首を飾ろう 紅い血で化粧をして追憶する チェストからファルセットへ!唄は俺の指先ひとつで輝く ファントム・ジ・オペラと夜を過ごそう 哀しみの夜にも朝が来る 理想の恋人達がそこに現れる 愛してるって涙になる ケロイドの花嫁に恋をした この爛れた愛を受け止めてくれ ロザリオを手に祈りを捧ぐ「神よ、俺の隣にいるというのか——」 あなたが手を差し伸べぬのなら 俺はあなたを贄とし修羅となる 花嫁は窓辺に座り 嘆きの微笑みを向ける 今日は晴天 神に勝つ この世での存在の意味はそこにある 狂気の笑いを! 体は焔に焼かれる 広げた両腕 君の元へたどり着く 本当は、どんな姿だって構わない 焼け焦げた君だって愛せる

Cycle05 Pain - 幻覚

揺れづづける視界 吐き気を感じながら 引きつる、微笑む、無様だ 心臓の収縮・緊張 「まだ動く、まだ壊れていない。」と言う 自らを欺き 自己を偽る 誰も気付かないさ この腐敗を 人の痛みがわからない 致命的な欠陥をどう克服するか 皮膚は戻らない もう戻らない物を取り返す事も考えない 剥がれ落ちる皮膚に痛みなど無い 痛みは過去 幻覚が尾を引く 何かに当たる鈍い音 その腹は痛くもない 受け止めてしまう ふらつく意識と冷たくなっていく指先に終幕を感じる 有るかも分からぬ四肢をばたつかせて 俺は何かを掴もうとする

Cycle06 CREATURE - 怪物

差別された過去 止まない耳鳴り ぎらついた眼差しを忘れるな —— 長く伸びた腕 鋭い爪 怪物はだらりと腕を下げたまま 人は俺を化け物という 触れてはいけない、見てはならないという 花に触れない様にそっと抱き抱える 頬を伝うのは嘆き ささやかな幸福は奪われる「お前に花を持つ資格など無い」 「皆と一緒になりたかった」その願いは叶わない方がよかったのか 「存在しない方がみんなが幸せになれる」破壊者は嘆く 「あなたには与えられないもの」と言われ続けたものを手にする違和 今更、手にしてどうする?手にしたところで、それは価値も意味も無い 口を噤んだまま やるせなさを引きずる 疎外されたままのこども 俺が怪物であるが故に、人間を理解し得ないというのか——

Cycle07 Murder - 戦い

やっぱり、この手に収まるナイフが必要。いつでも戦える様に。 狩りをするものは息を止め、獲物を捕らえる瞬間を見極める 迷う事無く放たれた一撃はなめらかな曲線を描く さあ深く底へとダイヴしよう その深みで真実を掴みとる 一瞬で全ては終わる この鮮やかでうつくしい惨劇を知れ

Cycle08 Circadian Rhythm - 一日

 二十五ミリで白昼夢をさまよおうか 君に会いにゆこうか 夕焼け 右手にナイフ左手に銃を持った俺は立ち尽くす 闇夜で屍肉を喰らい血を啜る私を救う神は君だけだ 明の真夜中 俺はひとでなし 月のあかりだけがやさしいなみだ 夜明け前に総てが終わる この世は一度死に、そして再生する 真昼の海岸線 麦わら帽子と君 影は落ちずに揺らいだ

Cycle09 dis-posable - 歯車

サイクルくるくる回る 永久機関みたいにね そんなものでしょ 眩暈が入り口 そこにあるのは俺自身 這いずり敬礼しよう ループする夏の狂騒 視覚聴覚はノイズまみれ 嘔吐する 影に縛られる 身動き出来ない程 お前は俺を喰い散らかす 作られても廃棄されるゴミ屑と何ら変わりが無い そう、無意味 眼前には無意味無価値 無が俺に死を突付け殴り付けている 歯車に引き裂かれる 血はもう意味を成さない 意識も身体も 地面に倒れる 解体された腹部 晴天 これが俺の墓標 冷徹な意志だけが現在を生きる 無感動の方が生きれる 孤独に投げ込まれた個は孤独によってどこまでも収縮する 静謐な場所で俺は全てを静止させる 無になる 零になる 反復する意志 永遠の傷痕 片腕はナイフ 廃棄の夜 明日へ生き抜く希望 明日に死にゆく絶望 君は踊り続ける

Cycle10 Dance above Fire - 悪魔

「灼ける様な陽の下、影形を歪ませ歩くのが楽しいのさ」 そう口にした悪魔は鼻歌をうたい マントを翻し躍る 何一つ目立たない生活をして眠る そこは棺桶の中だ 陽の下を歩きたくない訳じゃない 明るすぎて目が塞がれる 「怪物と蔑まれる俺に、闇夜はお似合いだろ。笑い話さ」

Cycle11 Psycho - 患者

梅雨前線が狂気の入り口を開いてノイズをかき鳴らす ガンガンと叩きつける頭痛が理性の座を押し流し消していく ベタついた梅雨 頭痛に下を向く 落ちた影が俺を嘲笑っている 鏡の素顔は真っ白な髑髏 死がまとわりついて離れない ナイフを持ったアレが俺に鋒を突きつける 「まだ死なぬのか」と 暴発しない様に感情を抑える自分が滑稽過ぎる 鋒だけがぎりぎりと感情をなぞる 薙いでしまいたい衝動 箱の中に入るか、函の中が壊れるか、二者択一の鬱 狂人の中に時間は通過しない どこにも進まない意識 there are curse words, figures and lines on the notebook 山積みになった人形 またひとつ重ねて またひとつ欲しいと言う 廃物マヌカンの海で俺は窒息 コンクリートは反響 僕が壊れたら僕は笑う 僕が泣く時には君は死んでいる 「理由が欲しいんだね。ごめんけど、わかる様な理由なんて、無いんだ」 両腕を縛られたままリノリウムの床を歩く 眩惑する 拘束された屋上、飛び出す事も出来ぬままフェンスを掴み睨む 追われて駆け上る螺旋階段 抜け切れば救われるのだろうか もうすぐ蝉の音が聴こえると思うとユウウツ。また、アノヒトが来る。

Cycle12 sur-réalisme - 浮遊少年

緑の香りが濃くなって 地面に沈みこみたくなる瞬間 まどろみに雨打つ音は優しく 地面に吸い込まれる 森の中 木下闇はメランコリア ゆっくりと腐敗するなんて素敵でしょう 朽ちる腐ちる 甘ったるくって眠いんだ 身体を丸めたままにして 膝をつき 土の中へ手を潜らせる 内蔵に手を入れる様に あたたかなぬくもりは無い 冷たく融けきった腐敗が掌にある 指先が君の骨に当たる 君は動いてくれないという事実 まどろむ虚無 死んでいくのはこんな風に眠たくなるものなのか 雨は孤独を謳う 塞がれた世界に流れるか このレクイエム 夕焼け 長い影といっしょ 僕は独り影と遊びながら歩く 明日僕はさかさまに歩いているかも知れない。……思っただけだよ。 ネジ巻き式少年は立ち上がって首を傾げた 「次は、どうする?」 真夜中の地下道 独りで考えてる こんな荒廃が好みだ シのデザインはそれくらい無味乾燥の方がいい それが幸福 デラシネのカエルは月夜に唄う 右手に光を 左手には死を

Cycle13 ICON - うたごころ

彼の雨の歌が似合う様になりたいなあ!僕はまだ少年 まだ深みを出せぬ若蛙 お前は愛を、人間を、識るべきだ 突き抜けた強さを持ちたい。全てをゆるし愛せる心を持ちたい。 焼き付いた感情 焦げ付いた想いは届かず ひとり口遊み 彼の歌を唄うと君の横顔が浮かぶ 込み上がる感情 愛と死が交わる場所 それが永遠という意味を作り上げる ナイフ片手に一歩ずつ死へ向かう 行く先をじっと見つめる 俺は死を意志する 世界の果て 昏き前を見据えひとつふたつと

Cycle14 pre-lude - 物=語りの為の断章

Cycle15 ALLÉ-GO-RY - 鶴間物

俺は何も残してはならないし、遺せない。それだけを知っている。 うつくしいものはこの世に存在しない。それはわかっているけれども、 それでも存在すると確信出来る。だからこそ、俺は生きるのだ。 図書館で見た、あなたの顔があまりに難しそうな顔をしてて。 あんまりにも涼やかな君の声に俺の心の曇りが晴れる シャンパングラスはハジける 炭酸に驚く 理解したらカンタン 「お世話になっていた先生が今朝亡くなった。」長すぎるセンテンス 逆様に転回する「そうか、これが一般的な認識の仕方——」 《あの》夏の夕闇を忘れない 確証: 永遠は存在する コントラスト 君は綺麗だ その頬も髪も瞳も 愛している 死に至る病の意味が形を持つ 手を触れ 俺は震え上がる 見える未来 この指先はカミソリ 君に触れる事も許されず 冷静と情熱がせめぎあう 口遊むキェルケゴールの愛 理由を俺は知っている。しかし、言葉で伝えても、理解されない。 遠ざかろう 君の為 下を向き 両手は下がったまま落涙 絶対値の様に君と歩く アスファルトに逃げ水と陽炎 あなたと歩いた道を独りで歩く。まだこんなにも輝いている。 噴水前、溢れ出し陽の光にきらめいている水が悲しい。 外周を歩く ——もし、ここで君と歩けたら—— 消した願いを思う ありふれた幸福が最も辛いもの 絶対に手に入らない ここにあるのは狂人の感覚 淡い幻想など捨て去ってしまえ 投げ捨てた感情とは裏腹に切れた糸を無視出来ずにいる 「あんなに強い糸で繋がっているのに、何で、切り離してしまうんだ。」 「分からなくていい。誤解されていい。唯、君の未来を穢さぬ為。」 「何故?どうして?駄目だ!手を離しちゃ駄目なんだ。二人とも、救われない!」 触れない、触れない—— あの日のまま、遠ざかったままの少年ごころ 君の中に永遠を見る 朽ちてゆく事もわかる ここが永遠—— 跪き君を抱きしめたい。この手を伸ばし君を見つめたいんだ。 十五年経っても、あなたの事愛してる。この想いは本物。

Cycle16 meta-morphose - アイソパラメトリック

煙管を銜え思考する男はいるだろうか 僕には視えている 笑う修道者 嘆く哲学者 道化は両手を掲げる 狂人は襤褸を着て地面を這う 己の全てを神に捧げる 「君が話した言葉で僕は言葉を覚えた。世界を定義した。 つまり、今の僕は、君で出来ている。だから僕は生きていけるんだ。 そして、君に逢う為に、僕の意志で一歩ずつ死にゆくんだ。そうだろ?」 「あなたの傍で私は考えます。そう、だから、あなたは大丈夫」 壁に耳を当てて君の声を聞く この遠さが、思考の遅さだ 道化師は陛下の為にタンバリンを打ち鳴らし行く先を示す おまえは夜闇を駆ける ただ一つの願いを全うする為だけに 式の本領とは、命を捨てて闘う事。《この》命の為に 拡声器で叫んでも 誰一人振り返る事も無い虚無感 代入しても、戻ってこないのだ。何度も、繰り返しているのに。 「だれもいない。」君はそう言ったけれども、僕は目に映らなかったのかい? 可能性を自ら絶ったその時があまりにも哀しく静かで 朝焼けは寂しくて孤独だ そうだろう?君がもういないのだから よく、周りとのズレを感じる 俺が遅いのか、世界が速いのか 君が答えてくれるまでの間に地球を一周してるのかも あなたを想う時 俺は《ここ》にいる あなたの中に俺はいるのか 有限だと知っていたとしても永遠が存在すると信じたい 自由は存在するか 階段を登り切ったその先にあるのか 思考する価値概念 何処で、何を間違えた?間違っているのか? あの夕焼けを見たか 気付きの訪れはどれだけでも異なる物 大きな驚き 理解をした瞬間って、こう、笑いたくなるんだよ きっと、最期に「わからない」って言う為にイシを積み上げているんだ

Cycle17 LOOP - 回路

階段の前、僕は立ち止まる。カンと薄い鉄板を踏み鳴らす。 (やはり人間が多すぎる)  流れるヘッドライトはくたびれている。 闇にしか生きれぬ廃物は鈍い音と共に最上階へ—— 最後の踊り場に差し掛かる。目の前に人影が立ち塞がった。 衣が揺れる。その色に僕は影の姿を認めた。「あぁ、あなたか」 「お前は何も語り得ぬままに、永遠の沈黙をするつもりか?」 「もう全て、無意味では?誰も追いつかないし、僕は追うつもりもない」 「許さない。お前のしようとする行為は、無限退行そのものだ」 「残念だけど、僕はあなたとは違いすぎる」口遊む歌の一節。 「俺の存在の矛盾をどう説明する?《ここ》にいるのは誰だ? 俺の影はお前のシソウ。ならば、お前には可能性があるはず」 「可能性の無い、意志無きモノに運命は微笑まない。僕は虚無」 「運命は意志だ。お前が望めば彼女は微笑む。彼も然り。 お前はまだ、俺の時間まで見ていない。十五年先を見たか? 初めに弱さと強さをソウゾウし、俺を〝不完全なもの〟とした。 十五年先の俺が抱えている哀しみも苦しみも癒えぬ。 それでも、存在する事を諦めなかった。それはお前の期待。 人生はシコウだ。未来の俺は、今以上に泣く事が多い。 それでも、人生を悪くないと判断をさせたのは、お前の意志。 〝嫌と言う程生きろ〟そして、生き抜いてから答を出せ。それからだ」 気の抜けた様に僕は彼の瞳を見ていた。揺れている表面。 「さて、降りようか。今日は満月だから、足元もよく見えるだろう」 どうやら、未来には見捨てられていない様だ。これが《   》イシか—— 「お前は、何度でも生き返る事が出来る。まるで不死鳥の様に」 運命は、そう、カルミナ・ブラーナ。廻り続ける閉鎖系の回路。