Cycle15 ALLÉ-GO-RY - 鶴間物

俺は何も残してはならないし、遺せない。それだけを知っている。

うつくしいものはこの世に存在しない。それはわかっているけれども、
それでも存在すると確信出来る。だからこそ、俺は生きるのだ。

図書館で見た、あなたの顔があまりに難しそうな顔をしてて。
あんまりにも涼やかな君の声に俺の心の曇りが晴れる
シャンパングラスはハジける 炭酸に驚く 理解したらカンタン
「お世話になっていた先生が今朝亡くなった。」長すぎるセンテンス

逆様に転回する「そうか、これが一般的な認識の仕方——」
《あの》夏の夕闇を忘れない 確証: 永遠は存在する
コントラスト 君は綺麗だ その頬も髪も瞳も 愛している
死に至る病の意味が形を持つ 手を触れ 俺は震え上がる

見える未来 この指先はカミソリ 君に触れる事も許されず
冷静と情熱がせめぎあう 口遊むキェルケゴールの愛
理由を俺は知っている。しかし、言葉で伝えても、理解されない。
遠ざかろう 君の為 下を向き 両手は下がったまま落涙

絶対値の様に君と歩く アスファルトに逃げ水と陽炎

あなたと歩いた道を独りで歩く。まだこんなにも輝いている。
噴水前、溢れ出し陽の光にきらめいている水が悲しい。

外周を歩く ——もし、ここで君と歩けたら—— 消した願いを思う

ありふれた幸福が最も辛いもの 絶対に手に入らない
ここにあるのは狂人の感覚 淡い幻想など捨て去ってしまえ
投げ捨てた感情とは裏腹に切れた糸を無視出来ずにいる

「あんなに強い糸で繋がっているのに、何で、切り離してしまうんだ。」
「分からなくていい。誤解されていい。唯、君の未来を穢さぬ為。」
「何故?どうして?駄目だ!手を離しちゃ駄目なんだ。二人とも、救われない!」

触れない、触れない—— あの日のまま、遠ざかったままの少年ごころ
君の中に永遠を見る 朽ちてゆく事もわかる ここが永遠——
跪き君を抱きしめたい。この手を伸ばし君を見つめたいんだ。

十五年経っても、あなたの事愛してる。この想いは本物。