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4月, 2010の投稿を表示しています

葬儀場の風景

父は子の亡骸を 涙流さずに じっと 見つめている 命を絶った子は 黙ったまま ずっと 目を閉じている 父は「何故」と問い 子は「どうして」と叫ぶ 交錯する事の無い言葉達は 反響して 互いから 離れていく

「見られたくないよ」 君はそう言って 暗がりから出ようとしない 僕には 見える姿はどうでもよくて ただ、君の存在を この手に感じたかった 「恐れるな」 僕はそう言って 君に手を伸ばす 希望と絶望を混ぜ込んで 君は僕の前へ 足を踏み出す 僕が差し出した掌に 君は棒切れの様な指先を そっと乗せる 瞬きの出来ない瞳を震わせ 君は目を閉じた-つもり- 僕はその姿を見て微笑む 愛しさは変わらずに 燃え盛る 黒焦げた君の体を抱き寄せ 薄く唇が乗った歯に 口付ける 「ほら、恐れる事なんて何も無かっただろ」

混濁の夜

いつの間にかまた 綺麗に飾られてた ノイズはまだビリビリ 染め上がった色 ドロドロとこびりついて 鈍い反射 短くなっていって バキバキ 錆びてしまったのは ナイフ? それとも僕のアタマ? 脳が痺れて 眠れない まるでモールス信号 落ちたら そこでおしまい。

畸形

本当は 殺されるはずだった 生まれ落ちた その日に 廃棄物になって 死にゆくはずでした なのに、 僕は生かされています。 死んだ方がしあわせだった かも知れません 何千回も繰り返される 嗤い、嗤い、嗤い 消え去る事の無い 記憶の傷痕 生きる事はしあわせでしょうか? 光だけを見て、 生きる事は 本当によい事でしょうか? 光に目を潰されて 見るべきものを 見落としていないでしょうか? 生きている限り 問い続けなければ 僕は 生きる事も 死ぬ事も 出来ません

僵屍

僕は君を愛してる どんな姿でもいいから 君→イタイ わかるね? バラバラになった君を もう一度繋ぎ合わそう つなぎ合わさった頭に 同じ記憶は残ってる? 僕は君を愛している どんな姿でもいいから 君=イタイ わかるよ バラバラになった君を もう一度作り直そう 新しく記憶詰め込んだら 君は僕を思い出す? 君→イタイ 禁忌を 君=イタイ 超えて 僕は落下 廃棄物 君ハいない 僕ハ毀れ バラバラになった僕等 混ざり合って ひとつになれたね きょう きみ なれて かなし 君はいない 僕は毀れ バラバラのまま僕等 混ざり合えない 混ざり合えない

シンアイ

横たわった君に 触れてみる 冷たくて 僕は泣いた ねぇ 記憶なんて 曖昧で どうして 大事な事が 思い出せない 何度も 君の頭を頬を 撫でて 撫でて 君が好きでした。 だって、それ以外 何も考えられないよ 何が大切かなんて 自分の頭で考えたら すぐにわかるでしょ 何度も 君の唇頬に 口づけ 口づけ 君が好きでした。 だって、それ以外 何も考えられないよ 何が間違いなんて 自分の頭で考えたら すぐにわかるでしょ

幻想風景「春」

切り裂くは月光 皓々と白く 降り咲くは桜 根より血を吸い 花弁に映す 月桜の下 我は立つ 朱に染まりし衣 白く散るは涙 天空にひとつ 響くは咆哮