「見られたくないよ」
君はそう言って
暗がりから出ようとしない

僕には
見える姿はどうでもよくて
ただ、君の存在を
この手に感じたかった

「恐れるな」
僕はそう言って
君に手を伸ばす

希望と絶望を混ぜ込んで
君は僕の前へ
足を踏み出す

僕が差し出した掌に
君は棒切れの様な指先を
そっと乗せる

瞬きの出来ない瞳を震わせ
君は目を閉じた-つもり-

僕はその姿を見て微笑む
愛しさは変わらずに
燃え盛る

黒焦げた君の体を抱き寄せ
薄く唇が乗った歯に
口付ける

「ほら、恐れる事なんて何も無かっただろ」