呪ひ唄
総ての道理 識りて
堕ちし この世を嗤う
御前の遺したものに
我は鬼と成らん
ひとよ この世を憂き物と
はたよ 未練を思ひ出せど
はてに 全てを捨て去りて
朱砂よ 形成せ 青き鉄
思ひ吸取り 硬き力よ
我は朱を知る虫とあれば
御前に贈る これぞ 呪ひ唄
ひとよ この世を憂き物と
はたよ 未練を思ひ出せど
はてに 全てを捨て去りて
朱砂よ 形成せ 青き鉄
思ひ吸取り 硬き力よ
御前の様な「人」と成るなら
我は果てても 「人」と成らざらん
声は聞こえず 形見えねど
狐 螻 蜘蛛 草はざわめく
朱色盃 御前が飲めば
片目は嗤う
「これぞ、呪ひ也―」